とろんと その後 最終回

いや~ ひっぱりにひっぱったわけでありますが
その間にも色々とまぁあったわけでして
その戦績、一勝一敗一分(謎)

現在、その引き分けのとこをどーにかしようと無理めの挑戦続行ちうのわが社であります

よいこのみんな
生きていくって・・・<以下略>

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さて、やっと税関の正確な場所を教えてもらい、勇躍到着したあげく
そこは税関ではなく移民局だった、というところから物語は再開するわけだが

どうすりゃいいのよ?
もういっぺんエマージェンシーコールに電話する気にもならんペンギン君
手詰りとなって途方に暮れる

気づけばすでに到着から25分が経過
出発まで1時間を切っているのである
あと15分ほどの間にどうにかせんとどもならん

自分を叱咤しつつ到着ロビーに舞い戻ることにする

要するにご通行中の2名の方のおっしゃった あっち に賭けたのである

2名様があっちとおっしゃるからには、きっとあっちにあるのだろう
そうに違いないそうだそうだそうしよう

もういっぺんさっき乗ってきたエレベータに乗り、今度は到着ロビーへ降下

降りたとこがその あっち なのである

今度はあわてず騒がずその周囲をとっくりと観察し・・・・・・・た途端、それ、が目に入る

さきほどと同じ白地に赤いメープルリーフがあしらわれた地味な看板である

さきほどと同様、やはりすぐには目に入らない高所にひっそりととりつけてあったので、気づかなかったのである

むきぃぃぃぃぃっ ワタクシの馬鹿ぁ(泣

あの時も、ある!と思って探せば発見できたのかもしれん
が、今回とは違い、あるやらないやらこころもとないまま探したのでどうやら気合いが足りなかったらしい

その看板の下がこれまたわかりにくい地味なドア
で、さきほどとは違いそのドアが開いておる
どうやらその中が税関ということらしい

あたふたと中へ入ってみたら、確かに税関らしくなにやら銀行の窓口らしきものが3つほど並んでおり、中には係員が一人
その窓口の前にはすでに10名ほどの行列ができあがっている

どうやら観光帰りの人々が消費税の還付を受けるために並んでいるらしい

たった10名と侮るなかれ
日本とは事情が違うのである
こっちの連中の仕事のスピードというものをなめてはいかん
1名の処理に5分かかるとしたら順番まで50分!

うわぁ どおしよぉ・・・

これは事情を話してどうにか先にやってもらうしかない、と意志を固めたペンギン君、列の大部分を占めているアジア系の若者達のリーダー格らしき青年に非常時であることを目で訴えつつ話しかける

実は・・・・ <中略> ・・・・というわけで、先に行かせてもらえんかの?

どうやら韓国系もしくは台湾系とおぼしき青年達ほがらかに
俺たち別に急いでないからいいよ

ありがとぉぉぉぉぉぉっ!(感涙

なんていい人たちなのだ

列には10名ほど、と書いたが、実はすでに窓口を占拠してうだうだやってた東欧系の顔つきの連中はご一族だったらしく、その連中がだらだらと出て行ったあとにすぐ順番がまわってきた

で、さっそくもう何度話をしたかわからん状況説明を始めるペンギン君

パスポートをなくしたの
28日に到着してすぐ
場所は3番ターミナルのトイレ
今日探してもらったら、ここ、1番ターミナルの税関に届いている、と言われた
30分後に飛行機が出るので急いで探してほしいあるよ

無表情にそれを聞いてたアジア系顔立ちの女性(おねーちゃんでもおばさんでもない年齢、以下アジーと呼ぶ)おもむろにひとこと

そんな時間にここが開いてたハズは ない
だからここには ない

はい?
いやいやいや そうじゃなくて
かれこれ30分ほど前にこっちにあるって言われたの

そんな時間にはここには誰もいなかった
だからあるはずが ない

いやいやいや あるはずだってば
あるって言われたんだからさぁ
記録は残ってないの? せめてまずは調べてみたら?

しぶしぶコンピュータの端末にとりついてなにやら打ち込み始めるアジー
数秒で顔を上げて

ここには、3番ターミナルに届いた、と書いてある
3番へ戻れ

・・・・・・・・・・・・・・・・まぢ?

一瞬ココロがゆれて、本気で3番へ戻りかけたペンギン君
だが、ふと思い直す
だってあの怖いおばちゃんってばやたらと口うるさいけど、やることは非常にしっかりしていたし指示も的確だった
手ぶらで戻って結局もう一度調べたらやっぱりここにある、ということになりそうな気がする
そしたらもう絶対に間に合わない

気を強く持ちなおし、もう一度アジーを説得にかかる

届いたのは確かに3番ターミナルの税関だったかもしれんけど
1番に送ったってあっちが言ってんだから、絶対ここにあるはず
少なくとも3番のオフィサーの一人はそう言った

オフィサーって誰よ

・・・・・・・・・しらない

そういえばあのおばちゃんって一体なにもんなんだ?
名札は確かに見たのだが、なんやらあまり一般的ではない長い名字で実はおぼえきらんかったのである

たぶんデルタの社員・・・・だと思う
ブルーのジャケット着てた

フライトアテンダントにそんなことがわかるはずはないっ

いやいやいや フライトアテンダントでは・・・ない・・・と思う
(あの体型でキャビンにいるとこはちょっと想像がつかんし)

じゃ、誰よ?

そら・・・・わからん・・・わからんがとにかく
彼女が3番のカスタムまで連れてってくれて
そこで聞いてくれたの
そしたらこっちにあるって言われたのっ

なんでもいいけどさ
アンタはさっきから私の時間を無駄にしている
なんで3番ターミナルのカスタムに電話して聞くとかしないの?
そしたら状況がわかるかもしれんでしょーが

言われたアジー それもそうだ、という表情で
しかし明らかにめんどくさげに電話番号を調べ、電話し始める
で、出てきたヤツを相手に長々と時候のあいさつを交わしたあげく

ところで、こっちにパスポートをなくしたとぬかすペンギンが一匹来てるんだけど、アナタ何か知ってる?
さっきそっちへ行ったって言ってるわよ
そうよねぇ そんな時間には誰もいなかったわよねぇ
え? 記録上は3番にある、ってことになってるけど・・・
わかったわ
え? そうそう そうなのよぉ うちのダンナもね こないだ

って・・・おい
アンタの亭主の話してる場合ぢゃねーだろぉぉぉっ(怒

こっちは気が気でないのである
3番に戻る時間を考えるとタイムリミットは10分を切っておる
遅くとも30分前にはなんとしても戻らなきゃいかん
なんと言っても国際線なのだ
イミグレーションも通らなきゃならんし税関という関門もある

イラつきが頂点に達したペンギン君
ようやく電話を切ったアジーにもういっぺん今度はかなり高圧的な態度で言い渡す

とにかく、ただちに せめて 奥を見てこい!

言われたアジー、明らかに気を悪くした様子で奥へ消え・・・たと思ったら数秒後に戻ってくる

ない

・・・・・・・・・・はぁぁぁぁぁぁ ←深いため息

そうこうしている間もさきほど順番を譲ってくれた青年達はずっとげんなりした表情で待っているのである

残り時間、あと5分

もうどうにでもなれ、と覚悟を決めたペンギン君
とにかく待たせている青年達にあまりにも申し訳ないので
どうぞ先に用を済ませてくれ
あとでゆっくり探してもらうから
ほんとにありがとう
と言い置き、いったん外へ出て一服つけつつ善後策を練る

3番へ戻って、今度は加勢を連れて戻ってくる?
いやいやいや いくらなんでもそこまでたぶんしてくれないだろう
それに絶対間に合わなくなる
20分前までならもしかしたらあのおばちゃんが無理やり飛行機に乗せてくれるかもしれん
とにかくあのアジーに本腰入れて探させるしかない

決意も新たに戻ってみたら、例の青年達は単にレシートにスタンプをもらうだけだったらしく、全員が目的を達成して立ち去るところ

大変だね
幸運を祈ってるよ
と、リーダー格の青年

ありがとぉぉぉぉっ(感涙

さて、気合い十分でアジーに対峙するペンギン君
身構えるアジー

どうやら今回、決してひかないぞ!という気迫が顔に出ていたらしくちょっとひき気味のアジー突然あれこれいいわけを始める

アノネ、パスポートは確かにふつーは税関に届くし最終的には1番へ来るわ
でもね、3番で落としたんだったらこっちへ届くまでには時間差があるから・・・
その時間帯だと誰もいなかったはずだからまだここにあるわけがないのよ

ん? なんか へんだぞ??

特にこんな朝早くだと電話も通じないはずなのに、どうして税関にあるとわかったの?

??????
ちょっと待って
アンタもしかして、オイラが今日、3番で、落としたと思ってんの?

違うの?

最初に言ったろーがっ!
落としたのは28日
気づいたのが今日なのっ

で、今日、こっちへ来て3番の税関を探してもらったの
そしたら1番ターミナルの税関に届いてるって言われたのっ(怒

言われたアジー ありありと『しまった』という顔つきで言う
Let me double check…

ダブルもなにも
一度もまともに探してなかっただろーがよっ!(怒

そそくさと奥へ消えたアジー、数分後には日本国パスポートを手に登場

見ろっ! 最初から本気で探してくれてたら間に合ってたじゃねーか

うしろめたいアジー、ペンギン君とは決して目を合わせないようにしつつ受け渡し手続きにとりかかる

あせりのあまり受け取り書類に必要事項を記入するだけで2枚も無駄にしておる
横柄なくせして結構気が小さいらしい
最後に ここにサインして、と言うのでサイン

その時すでに出発時刻まであと25分

明らかに 万事窮す である

もう急ぐ理由がなくなり、気力も萎えたペンギン君
何も言う気はない
ないが、とりあえず目にありったけの非難と軽蔑を込めつつ
しかしながらここへたどりつく前に徘徊しまくって時間を無駄にした負い目があるので
態度だけはとりあえず鷹揚にパスポートを受け取る

この大騒動でアドレナリンが出尽くしたらしくほぼ抜け殻同然のペンギン君
巡回バスにもういっぺん乗って3番ターミナルへ10分後に到着

朝、おばちゃんをとっつかまえた場所に一番近い入り口をくぐった途端、例のおばちゃん発見

というか、入った真っ正面に仁王立ちして今か今かと待ちかまえていた闘志満々のおばちゃんなのである

すっかり盛り下がって無気力な目で合図したペンギン君に おばちゃん一言 

おそいっ!

何やってたのよアンタが出てってから1時間もたってんのよ
どうしてこんなに時間かかったのよすぐ戻ってきなさいって言ったでしょ
大体アンタが乗ってきたのは巡回バスでしょ3番へ直行するバスに乗ればまだ少しは早かったのよなんでちゃんとやらないのよ

・・・・・・・・・あのですね

ごちゃごちゃ言わずにとにかくこっち来なさいっ

・・・・・・・・・ふわ~ぃ

どう考えてもごちゃごちゃ言ってんのはおばちゃんだと思うのだが、とにかくこのおばちゃんに勝てる生き物はこの世・・<以下略>

即座にデルタのカウンターに連れていかれるペンギン君
おばちゃんが近くから拉致ってきた、いかにも仕事が早そうなカウンター業務のおねーちゃん、必死に端末を操るも、いかんせん時間切れである

そうこうしているうちに出発時刻の10分前となり、絶望的な表情を浮かべたおねーちゃん

無理よ
これから税関もイミグレーションもあるのよ
しかも今日はこの便の乗り場がここから一番遠いところだし

残念無念、という顔したおばちゃん 一言
あと5分あったら間に合ったのにぃぃぃ

すでに無我の境地に達していたペンギン君
すまんこって んでも悪いのはアタシぢゃないの あの馬鹿アジーがぁぁ(25分も迷ってたのはオイラだが)

なんにせよペンギン君の言うことなんか誰も聞いちゃおらんのでどうでもいいのぢゃが・・・

大丈夫よアナタのチケットなら追加料金も何もいらないから
それにともあれ出てきてよかったじゃないの
もし見つからなかったらもっと大変だったわよ
と言いつつ、おねーちゃんがてきぱきと明日の便に予約をいれてくれる

まだあきらめきれない表情のおばちゃんはそれでも慰め顔で
明日は早めにここへ来なさいよっ
ホテルはこの近くにしなさいっ
と、最後まで面倒を見てくれようとしておる

わかった~ ほんにどーもありがとぉ
と、言いつつ新たに発行してもらったチケットを手にとぼとぼとその場を離れるペンギン君

さて、これからどないしょ?
丸一日何をして時間つぶせばいいのだ?

結局、3番ターミナルと道をはさんですぐ向かいにあるエアポートシェラトンにチェックインし、大ぼちゅを送りにやって来た師匠ご一家に拾ってもらって、その日一日ショッピング&グルメに走ったペンギン君なのであった

師匠、ありがとぉぉぉ

今回の経験で一つだけしみじみと実感したことがある

急いでいる時の1時間より
もう間に合わない、とあきらめてからの5分の方が
圧倒的に長い

ヒトの心理というものの深淵に思いを馳せつつ
長い長いペンギンの話