受難の大学院3

昨晩のアップ予告には誤りがありましたことをお詫び致します ぺこりん

昨日一昨日のまるで一升餅背負ったようなダルさはどうやら寝不足も手伝っていた様子である
いや、ワタクシの場合、睡眠時間は充分足りているはずなのだが、深く眠れない、というのが問題なのですねどっちかってーと

で、いきなり勢いづいて、大学院時代の最もディープな部分へ突入しようとしているわけなのだが、まだヤクから醒めきってないため、不適切な表現がありましたらご容赦ください >関係者各位

<よいこのみんな 薬物使用はほどほどに>

D2となって一番大きな変化は、手下がついたこと
D11名と卒研生が2名、計4名というロバ研内でも最小のグループだった

当時、医学部時代から引きずっていたテーマは大体まとまって、すでに投稿した状態となっていたため、あちこち却下されつつもいずれどこかに落ち着くのは時間の問題

要するに前のが一段落し、何か新しく始めなきゃいかん、という状況であったわけだ
で、何を新たに始めたかと言うと、ES細胞を使ったジーンターゲティングである

で、下についたD1のA君と二人してES細胞の培養から始めたペンギン君
当然わけわからん
コンストラクト作りも難航
なんせモレキュラーっぽい仕事はほとんどやったことがなかったので、ベクターの中にサイズの大きなフラグメント押し込むことすら困難
さらには、運悪く、繰り返し配列が山ほどはまりこんだ遺伝子だったらしく、スクリーニングに使えるプローブ部分がなかなか見つからない

なんぞと言うことを長々と書いてたら千夜一夜物語みたいになりそうなので要点だけ述べると、早い話、新たに開始した仕事が難航していた、ということだけを憶えていてほしい

当時のロバ研は小ボス3名の下に大きく3つのグループがあった
最大はN先生を頭とする血液・幹細胞グループで、内部はさらにいくつかの小グループに分かれている
ペンギングループも一応その中に属していたが、ありていに言って、血液・幹細胞グループはかなりの寄せ集め、やってることもまちまちで、ほとんど野放し状態だったと考えて良い

が、一方、他の2グループは全く様子が違う

小ボスは双方とも他研究所からの引き抜き
当然そこから手下付きで移動してきた
従って、独立国的な色彩が強かった

で、何が起きたのかと言うと、時間がたつにつれ、内部グループがそれぞれ勝手なことをやり出し、しかもどんどん閉鎖的になり、情報公開されにくい状況となっていったのである

たとえば、新しい抗体、新しく開発された使いやすいキット、試薬類

全てグループごとに勝手に注文して全部囲い込む
試してみた感想をみんなに教えてあげる空気が全くない
別グループのメンバーがあまりよくないキットを使って実験に苦労していても知らん顔

そのため、注文は重複して無駄になるし、せっかくの情報は埋もれたまま
あとになって知らん顔されてたのがわかれば当然気分はよくない

大体だな、大きなラボの利点というのは、それぞれに得意技の異なる人が揃っていて、広い範囲をカバーできることにある
下々の学生が何かやりたいと思ったら、それはC先生のところへ行けば教えてもらえる、別の実験ならD先生のところ、という具合に、研究室内が多彩になるわけだ

ところが、グループ間で情報公開がちゃんとなされていないとそれが機能せず、頭数ばかりが無闇に多く、小回りのきかない集団と化してしまう

当時のロバ研はまさにその感じ
グループ間がお役所官僚的になり、セクショナリズムの嵐が吹き荒れていたのである

しかしながら、それは小ボスおよび研究員レベルでの話
大学院生同士はグループが違うからって別に何とも思わず、ふつうに仲良く交流してたのである

で、事件はある時起こった

当時、コンストラクト作りに苦労していたペンギン君、やっとこさ長いフラグメントをベクターの中に押し込むことに成功し、さて、これをラージプレップして大量に増やそう!というところにさしかかる

が、その日は金曜日
たまたまその土日は出かける予定であった

うーむ……週末にラージプレップやっとけば、月曜から次のステップに入れるのになぁ

そこへ救世主登場

当時、某小ボス1名の手足となりひたすらミニプレップとラージプレップに明け暮れ、周囲から『ミニプレッパー』と名付けられていた気のいいしかしなかなかできのいいM1の学生B君

『ボク、どうせ明日また某先生のいいつけでラージプレップサンプルがいっぱいありますから、一緒にやっておきますよ。一つくらい増えてもどうってことありません。』

おおおおっ なんていいヤツなんだ!
すまんねぇ じゃ、お願い
これで昼メシでも食ってよ
と、何の気なしに千円札一枚ひらひらと手渡す

断っておくが、別に、なんの下心があったわけでも買収の意図があったわけでもない
単純に、彼がえらいことビンボであり、週末の肉体労働の合間にメシくらい存分に食べてもらおう、と、思っただけのことなのである

ところがなぜかこれが大問題へと発展する
A君の小ボスがロバートに怒鳴り込んだのである

ペンギンが学生の分際でうちの学生を雇って勝手に仕事させた!

で、それを聞いたロバート

それはいけない! ペンギンめ とっちめてやる!

と、週明けにいきなりロバ小屋へ呼び出される

呼ばれたペンギン君、何がなにやらさっぱりワケがわからん
話を聞くうちにキーワードが登場する

よその学生カネ払って実験させた
しかも学生の分際で

どうやらそこが争点らしい、と判断したペンギン君、おもむろに反撃を開始する

なんせ納得がいかないことには誰が相手でも決してウンと言わない性格なもんで

以下、反対弁論

お金を渡したことについては確かによけいな誤解を招きかねない行為だったかもしれないが、別に特別な意図はなく、単に肉体労働のお礼にお昼代を提供しただけのつもりだった

ところで、今までB君がジャーナルクラブの論文のわからないところをペンギン君に聞きに来たり、今やってる実験の意味を聞きにきたり、FACSの解析方法を聞きにきたり、ということは何度もあり、その度にこっちはごくあたり前に何でも教えてあげている

そういうことは全く考慮にいれず、後輩に実験一つ頼んだだけで『させた』扱いされてしまうわけか?

そもそもよその学生と言うが、どこがよそ様の学生なのか?
B君はロバ研の学生ではないのか?
ならばうちの学生なのではないか?

現在、小グループの小ボスが自分のグループのことしか考えていないためにラボが分解しつつある、非常にゆゆしき事態に気づいていないのか?

それをボス自らが認識していないからこそ『よその学生』などと言うばかげた発言となるのである

さらに言うなら、理研時代、学生だろうと研究員だろうと、身分的上下なんて全くなく、みんなが必要なことを自由に言い合って助け合っていたではないか

まさかアナタのそのおクチから、『学生のくせに』なんぞという差別発言が出てくる日が来るとは、私は非常に悲しい

ペンギン君の訴えを聞いたロバート、うーん・・・とうなり始める

彼はもともと非常に自由な発想と柔軟な思考力を持つ優れた研究者である
従って、筋の通った話ならちゃんと理解して対応するだけの器量は持っているはずなのである

で、一応なるほどと納得したロバートがそのあとB君の小ボスに何を話したのか知らないが、とにかくペンギン君の全面勝訴

ではあるのだが、問題の根は残ったままである
相変わらずグループ間の研究面での交流はないに等しい
しかもどうやらロバートは昨今のラボの状況には全く気づいてもいなかったらしい

そりゃそーだ
誰も言わないんだもん

なんせ大学へ来てからと言うもの、すっかり裸の王様状態である
ご無理ごもっともがまかり通り、誰も苦言を呈さない
みんなへへぇぇぇぇ~~~っとかしずいて、なんでも言うこと聞いてくれる
そういう状態が長く続くと、人間というのはそれがふつーだと思ってしまうのだね あのロバートですら

根本的問題は全く解決しないまま、物語は佳境へ

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