医学部での道草8

今日は寒かった・・・ まじ寒かった
おかげでなんとなく熱っぽくなり、早めに逃げ帰ってきたっす

午前中、今年最後のラボミーティング当番
年末年始ギリギリにまわってくるのはいつものことなのだが、なんで毎年なのだ?

<よいこのみんな 風邪ひかないよーにね>

さて、恐怖のポリクリはまだ続いている
気を失った記憶しかない外科シリーズが終了し、マイナー科関連を回り始めた後夏休みに突入、秋もふかまる頃に内科関連ドサ周りが始まった

ところで秋といえば・・・学会シーズンである
ペンギン君にとってはちょうどその年の夏休み中に気合い入れて実験した内容がほぼ整理され、さ~てそろそろ論文にまとめて投稿しようか、という時期でもあった

内容は免疫学会にぴったり
免疫学会と言えば当時はイケイケのおっさん達がゾロゾロいる活発な会である
自信作を発表してみんなの反応を見たり、顔見知りのおぢさんおにいさん達から色々な意見を聞いたりしたい、そういうお年頃(?)でもあった

ところがっ
ここでペンギン君それこそと~んでもない大トラブルに遭遇することになろうとは思っても見なかったのである

その週から2週間、某科を回ることになったペンギン君所属のMグループ、例によってその間の面倒を見てくれる講師のせんせとまずは面通し

そのしょっぱなに
「せんせー 実は来週中にめんえきがっかいというのがありまして、そこで発表することになってるんです。行っていいですか?」
と、質問するペンギン君

それがいわくつきの某科だと言うことなんぞあんましガッコ行っていないペンギン君は知るよしもない

言われた講師のせんせ苦悩の表情とともにうなりはじめる
「う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・

実はペンギン君、その年の春にも一度けつえきがっかいというものへ発表しに行っており、その時の外科のせんせ達はなんのおとがめもなく、万歳三唱でがんばれよ~と送り出してくれたのである

そもそも別に遊びに行こうってわけではない
しかもその当時のT大医学部、あまりにも基礎系へ行く学生がいないってのが問題となり、学部全体が基礎研究指向の学生を歓迎する空気に満ちていたのである

まさかダメなんて言われるとは夢にも思っていないペンギン君なのであった

・・・~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん 
ま、ちょっとその話はオレがあずかっとくわ」

へ?
腑に落ちないまんま、実習が始まる

その週は外来の助手をしたり、病棟で自分の受け持ちの患者さんのカルテ調べて内容把握したりであっと言う間に週末である

ここでペンギン君、再度、お目付役のせんせのとこ行って
「せんせー 来週の火・水と、前にお話しした学会に行きたいんですけど」

言われたせんせ、ますます悩み深い顔つきとなり
「う~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん・・・・
キミたち5人しかいないんだよなぁ・・・
6人のグループなら1人くらいいなくても目立たないんだけど・・」

と、意味不明なご発言
ますます謎のペンギン君、何と反応していいやらわからないまま、学会前日となる

「じゃ、明日から行ってきますね~」
後から考えればここに至っても、ダメとも行けとも言われていないのだが、なんせ別に悪いことしに行くわけじゃないという意識が働き、何の疑いも持たずに脳天気に出発

無事に発表をすませ、質問もたくさん出たし、大勢の人とお話しして新しいアイデアをいっぱいゲット、意気揚々と帰参
のんきにおみやげなんぞを抱えてガッコへ行ったその朝
教授様ご臨席のカンファレンスが上へ下への大騒ぎになっていることに呆然とする

登場したペンギン君、即刻教授室に拉致監禁
火ぃ吐くんじゃないかってくらいお怒りの教授様にさんざっぱら説教されている間も何でおこられているのか全然わからないペンギン君

が、よくよくお話を聞いてるうちにやっとわかった
なんと、お目付役のせんせ、教授様にその件を告げていなかったらしいのである
で、ペンギン君、形式上は2日間無断欠席したことになってて教授様烈火のごとくお怒りなのである

やっと得心が行ったペンギン君、おそるおそる言ってみる
「あの~ ワタシ○○せんせいにそのことはお話ししてあるったんですが・・・」

傍らで一緒におこられてた○○せんせ
「ワタクシは聞いておりました」

怒りの矛先をどこに向ければいいのか急にわからなくなった教授様
「じゃ、誰が悪いんだ?」

なんだかしまりのないまんま散会となったのだが、あとで聞いたら、その教授様、運動部の試合があるので実習を休みたいと言ってきた学生の願いを間髪入れず却下したばかりか、却下だけではお怒りがおさまらず、その学生には単位をやらん!とご乱心めされたのを周囲が必死になだめ、ようようその場が収まった、という事件が春頃にあったらしいのである

その記憶が生々しかった○○せんせ、とうとう言い出せないまんま一人悶々としていたらしい・・・のだが、結果として無断欠席扱いになったペンギン君にとっては大変な迷惑である

ダメならダメと最初から言ってくれたらよかったのに・・
と思ったのと同時に、なんつー融通の利かない石頭がトップに居座ってんだ、という不条理をひしひしと感じ、○○せんせにも深い同情をおぼえた

ここで話が終わればまぁいいのだが、そうはいかない

その後、事件のうわさがほぼ全教官に伝わるには大して時間がかからなかった
しかも当然のことながら教授様に一番都合の良い『無断欠席した学生』という形で伝わった
そのために、いくらそれは違うと説明しても話がえらくややこしいことになり、結果として大変なダメージが残ってしまったのである

T大では6年次春から夏にかけての3ヶ月間、院外実習を行うのだが、あらかじめ申請して面接で合格すると海外の病院へも研修にいかせてもらえるのである。一計を案じたペンギン君、ロバートがポスドクやってた研究室のボスにネゴシエーションして招待状を発行してもらい、3ヶ月ほどしけこんで研究三昧、ようするに海外逃亡してこようという目論見があったのだが、その事件のせいで『アイツはろくなコトせん』という評判が先に立ち、申請はあえなく却下、おかげで全然やりたくもない院外実習に行くハメになる。

ま、ちゃんと話がついていることを直接確認しとかなかった自分が悪いっちゃ悪いのだが・・
それにしても、相談すら受け付けそうにない某教授のことをよく知っているからこその講師様の逡巡なのである。それってあまりに封建的すぎないか?

なんせ数ある研究室の中でもおそらくは最もリベラルな研究室の一つで育て上げられたもんだから、大概のとこは封建的に見えてしまうということは確かにある

だが実際、ポリクリで臨床科をいくつか回っただけで、硬直化したピラミッド体制、というものの末端に置かれ、、無理が通れば道理が引っ込んでしまうような強権が発動されるのを何度か目の当たりにするにつれ、正直、幻滅を感じ初めていたのも事実

その事件でさらに追い打ちがかかったペンギン君、ますます臨床科というところに嫌気がさしてしまったらしい
ポリクリ前には2年ほど臨床やってから大学院に行くつもりだったのだが、いつの間にやらぜーんぜん行く気が消え失せてしまった自分に気づく

念のため、どこもここも臨床教室というものが全部そのようなものである、と言っているわけではない。たまたまその時期のT大学というところは定年を目前にひかえた教授連が多くそろっていた、という状況だったのが大きな要因かと・・・。ほら、なんせヒトって年を経るごとに硬直化する傾向があるし。

なんにせよ結果として、臨床を全くやらないできない医者、というものに成長することが決定的になったペンギン君なのである

それは5年次の終わり、目の前に国家試験!という巨大な壁が立ちふさがるまでもうあとわずかなのであった

次回、泣いても笑っても国家試験 の巻

ともあれ、研究者はアタマ柔らかくしとかないとね
はい、クリックマッサージ せーの! →