医学部での道草5

うにゅ~ なんか疲れてて、今日は楽しみにしていた野球にも行けず
ってか、目覚まし鳴ってるのも気づかずに爆睡

とは言うものの、土曜の朝8時、というゲーム開始時間だけはどーにかしてほしい今日このごろ
土曜10時開始のミーティング、どうにかなりませんか? >誰か

さて、続きである
おそるおそる ではあるけど

<よいこのみんな 今日のはまじでヒクかもよ>

Cell部屋のヌシであるO先生はカラダの大きな、おとなしい人であった
得意技は細胞(それもナマのやつ)を使った様々な実験
FACS解析用の細胞調製法とか、昨日も書いたハイブリドーマの作り方、刺激した細胞の活性を調べる方法、ELISA、といったあらゆる免疫アッセイの方法はこのせんせから教えてもらった

で、しつこいようだがペンギン君、実験は比較的うまいのである
教えてもらえば次からはたいがい一人でできるのである
助手を得たOせんせ、大喜びでまた色々教えてくれて、どんどん実験のリクエストが舞い込む

1ヶ月もたたないうちに、ロバ氏に
「ペンギンさんが来てくれたおかげでO先生、仕事がはかどるってすごくよろこんでるよ。」
と、ほめられ、ますます図にのってガンガン実験しまくるペンギン君

Oせんせの助手の他にペンギン君に課された使命は、研究室で維持している培養細胞の継代
そっちはアメリカで散々やってたから、結構得意である

今までなかなか増えなかった細胞がペンギン君が飼い始めたとたんに息をふきかえして元気に増殖するようになった、ちうことがあったりして
その評判を聞き込んだ真ん中部屋のKせんせが
「今まで誰にもさわらせたことのないボクが作った細胞株」
を、海外出張の時にペンギン君を信用して託して行ってくれたりとか実験面ではまぁまぁ活躍していたと思う

ロバートの方はもともとテニスで知り合ったわけだから、夕方ちょっとラリーがしたい、なんぞというときなんかは必ずペンギン君を誘い出してくるようになり、ヒッティングパートナーとして活躍

お昼ご飯は毎日、ロバ・ロバ奥・ぺの3名で仲良く食べてて、その頃どえりゃー若く見えたペンギン君はかなり長いことロバ・ロバ奥のムスコだとよそのラボの人々が思いこんでいたりと、順風満帆 (なのか? それ?)

が、事態は目に見えないところで徐々に悪化していた

まず最初の兆候はCell部屋の洗い物がどんどんたまって行く、という形になって現れた

あれ? なんでいつまでも放置されてんだろ?

洗い物はバイト学生君達のお仕事だったので、各部屋では使用したガラス器具とか培養瓶なんかはそれぞれの部屋に置いてあるカゴの中に入れておけばよかった・・ハズ

バイト君が来なくなったのか? と思えばそんなことは・・・ナイ
もれきゅらー部屋には毎日何人かの学生君達がやってきて、例のテック女史指揮でなにやらびしばし働かされている

何よりもモレキュラー部屋と真ん中部屋の洗い物はきちんと片づけられているのである

???

続いて、Cell部屋のマウスケージが放置され始めた
これもまた、たまったら動物舎に戻すのは学生君達のお仕事であった

???????

さすがに動物的カンが働いて、こっちからテック女史や学生君にどうなってるの?と聞くことはためらわれ、仕方なく自分でやり始めたペンギン君

だが、Oせんせの実験オーダーはどんどん増えていくばかり、Kせんせの細胞もサブクローニングにより株分けされてはんぱじゃない量になっている。ラボで必須の抗体をとるハイブリドーマはじゃんじゃん増えて植継ぎが間に合わないほど

そこへ追い打ちがかかる
共通試薬である培養液なんかを作ってもらえなくなったばかりか、ミリQのポリタンもいつの間にやら空のまんま放置されるようになってきたのである

をいをいをい しゃれにならんぞ

ここに至ってやっと、
どうやらハブにされているらしい
ということに思い当たるのだからお気楽もいいとこである

そうこうしているうちにペンギン君を見る周囲の目が徐々に変わってきた

実験を直接手伝っているO先生とK先生というラボ内でも比較的オトナな両名には変化がないのだが・・・

ま、それ以外の人々にしてみれば
『あの人が来てから洗い物はたまりがちだし試薬切れが目立つようになった』
ということになるわけだからそれも仕方がないか

と反省したペンギン君、できるだけ洗い物がたまらないよう、試薬を切らさないようにがんばってはいたのだが、なにせ元来がマメな質ではないので、どうしても追いつかないことがしばしば

そうこうしているうちにからくりが徐々に判明してきた

(意図的に書かずにいたのだが)モレキュラー部屋のヌシである大学院生のXさんはテック女史の兄であり、それはそれは強烈なリーダーシップの持ち主だった

もともとロバ氏が都内某私大医学部からR研へ移動する時に最初の学生として連れてきた人で、電話が設置されただけの空き部屋をほんの数ヶ月で立派に機能する近代的なラボに作り上げ、現行のラボシステムもほとんどX兄とX妹(テック女史)の二人で作った、ということである

要するにX兄が他の研究員を圧倒するラボ内の実質的トップだったわけで、しかも両名ともありていに言ってかなり圧政気味のリーダー
すなわち敵にまわすと大変なことになるボスキャラタイプ
そのX兄ひきいるモレキュラー関連の人々が関わり合いになるのを恐れ、ペンギン君を露骨に無視し始めたのである

昨日から書いているけど、ラボの正式な親分、というのと、ラボ内(つまり実験室の中で手を動かす実働部隊)のリーダー、というのは一致しないことも多い、と思う

なんせ、ラボのトップってのはおおむねラボの中よりオフィスにいる時間の方が多いわけだしのぉ

ロバ研の場合、研究者グループの実質リーダーはX兄、テック系サポート部隊リーダーがX妹、
両者とも馬力と勤勉さとマメさを誇るペンギン君が一番苦手とするタイプだった、のはお互いにとって不幸なことであった

X兄から見れば、
『研究室の草創期からロバ氏と二人三脚でやってきたし一番仲良かったのはオレ、何かあったら相談してくるのはまずオレだった、テニスの相手するのもオレしかいなかった
あんなええかげんなヤツが入ってきて、いきなりロバとなれなれしくなり、なんかのうのうとしているのは気に入らん
大体、新入りのくせして態度がでかい』
ということだったのだろう(と、ヒトづてに聞いた)

いやまぁ・・・態度がでかいのは・・・<以下昨日と同文

ちょうど、そういう諸々の圧力が表面にありありと出てきた頃、最初にロバと約束した夏休みのアルバイト、の期間は終わりに近づいていた

先のことを決めなきゃいけないわけだが・・・
なんやら不穏な空気を読み取ったペンギン君
と、同様になにやら不安を感じてたらしきロバ氏
夏休みの終わり近い時期、秘密裏にお話し合いをとりおこなう

実はロバ氏の方にもすでに有形無形の圧力が散々かかっており、あんなヤツやめさせろ、という申し入れまでX兄妹から寄せられている、とのこと

理由を聞いてみたらさ~
あまりに他愛なさ過ぎて相手にしなかったんだけど(ロバ氏談)

そこで、あんまりそういう(根回し的な)ことの得意じゃないロバ&ペンギン、打開策を求めてない知恵を絞る
(ロバ氏とペンギン君は基本的に似たもの同士なので、非常に気が合う)

ロバート案
このままバイト扱いだと、どうしてもX妹の干渉から逃れられないんで、研究生扱いにするから無給でやらん?
その代わり、今までみたいな誰かの手伝いじゃなくて、実験テーマ上げるから好きなようにやってみなよ
観察してた限り、ペンギンさん結構いけそうだよ

ペンギン案
確かに、X妹を見てて感じたけどペンギン君はマメさが命のテック向きではない
しかし、実験は楽しい
もともと研究やりたいと思っていたんだから、ちょっと早いかもしれんけど独り立ちさせてもらえるなら、それはもぉぜひやりたいあるよ

そういえば、その時点で打ち止め、という案はなぜか一度も出てこんかったなぁ・・・二人とも意固地になっていたのかしらん?
ともあれ、両者の利害が一致してチャンチャン、と手打ち

夏休みが終わった次の日、からペンギン君、Student Scientistというよーわからんポジション(名称)に変身し、ロバ氏が考えてくれた研究テーマを開始することになる

ちなみに、夏休み最後の日、
バイト初日にO先生が撮ってくれたペンギン君のポラロイド写真(全員の顔写真が入り口脇のコルクボードに貼ってあった)をX妹がこっそりゴミ箱に捨てている瞬間
というものをロバ氏が目撃し、あきれ果てつつ新しい写真をとってくれて
夏休みの間にX妹が自分の基準で勝手に入れ替えてごちゃごちゃになっていたコルクボードのメンバー写真を、めずらしくヤル気になったロバ氏が自ら整理

ロバ基準で並べ変え、かつ各自のポジショニングを明確にするラベルを付記してやっと、このラボにおけるペンギンの位置づけ、というものにラボ的決着がついた

やれやれ・・・

もちろんそれはあくまでもラボ的決着であり、対個人レベルでは戦いの単なる幕開けでしかない。X兄妹との攻防戦は、妹が嫁いで辞め、兄が海外へ留学し、兄妹ともどもロバ研から姿を消すまでえんえん続くことになる。

次回、まだまだ続くX兄妹との確執・・ではなく、大学の方はどーなってたか? っつー話も少しは書かんと・・
この時期まだ医学部学生だったてこと、忘れられても困るし

ポイント、着実に下降中
そっちも忘れられないように、リマインドしとこ
 ↓
忘れないうちに押しとく?